新着記事

備忘録

母音の転訛【アイヌ語地名研究】

アイヌ語の母音 アイヌ語も日本語をはじめとした多くの言語と同様に、母音は「アイウエオ」の5つである。ところが日本語と全く同じ発音というわけではない。ある時はウ音のはずがオ音に聞こえたり、イ音に聞こえたりする。古アイヌ語の母音は7つだったので...
特集

北からの来訪者 ~シベリア地方からの3度の侵入~

北からの来訪者 北の脅威 北海道史といえば、とかく南からの来訪者、すなわち和人や松前藩との関わりが語られることが多い。とはいえ侵入者は南からだけ来たわけではない。北海道に住む民にとって、樺太経由での北からの来訪者は常に警戒の対象であった。現...
データベース

銭函の地名と旧字名

銭函村 後志国 小樽郡 朝里村 大字銭函村 小樽・石狩・札幌の中間に位置する銭函 銭函ぜにばこは小樽市の東端、札幌と石狩との境界に位置する町である。小樽中心部からは峠一つ越える必要があり、経済圏としては札幌に含まれることもある。銭函駅は幌内...
データベース

北海道のアイヌ語地名の意味と由来

定説を考え直す 北海道にはアイヌ語由来の地名がたくさんあるが、実のところその半数ほどは意味がまだよくわかっていない。定説とされているものの中にもかなり怪しいものがあり、旧記類の表記や文法と照らし合わせて再考しなければならないものがたくさんあ...
特集

アイヌ発祥に関する7つの質問

アイヌは日本の先住民族か 基本的には Yes である。しかしそう単純な話ではない。 まず大前提として、13-19世紀にかけて北海道・南樺太・千島列島にはアイヌが住んでいた。日本語とは異なるアイヌ語を話し、独自の信仰や風習を伝えており、族長連...
特集

松浦武四郎の探検と小樽訪問

探検家・松浦武四郎 松浦武四郎は江戸時代後期の探検家である。 武四郎は自分の足で北海道の隅々まで探検した。彼の使命は、それまで暗黒に包まれ、未知の島であった蝦夷地に光を当てることであった。地名を調べ、川筋の細かな支流まで尋ね、それを全て記録...
備忘録

映画『シサム』レビュー ~主人公は何を成し遂げたのか~

※この記事には映画『シサム』のネタバレが多く含まれています 時代考証の素晴らしい映画 映画『シサム』公式ホームページ 2024/9/13封切りの映画『シサム』を見てきた。 何の前情報も見ておらず、特に期待もせずになんとなく見に行ったのだが、...
アイヌ語地名

道北の地名・宗谷から音威子府まで

道北旅行 機会があり、初めて道北地方まで旅行をしてきた。オロロンラインをひたすら北上し、宗谷岬を見て、豊富温泉に宿泊。帰りは音威子府や美深あたりまで降りてきて、幌加内から雨竜、浦臼に抜けるルート。 名寄と留萌より上には行ったことがなかったの...
地名の由来

十勝と勝納の由来を考える

カッチ地名 勝納の再検討 小樽港と勝納埠頭公園 小樽の勝納の由来について以前記事にしたことがある。 勝納は旧記では「カツナイ」ないし「カッチナイ」と見え、後者の方が古くから見られる。また「カチンナイ」の表記も伊能図などに見える。 『伊能大図...
地名の由来

下ヨイチ場所とヌッチ・梅川の由来

二つのヨイチ 二つの余市を繋げる大川橋 大川橋とモイレ山 北海道歴検図 後志州(下之下)  / 目賀田帯刀 余市のシンボルのひとつに大川橋がある。余市川の河口にある白い橋で、かつて余市の渡船場があったところにかかっている。 新市街と旧市街 ...
地名の由来

祝津・支笏・鹿部の由来 ~sik地名を考える~

sik地名 水に満ちたsik sikシㇰ という単語がある。これは「水でいっぱいに満ちた」といった意味合いで、一般アイヌ語ではよく使われるが、地名の中で使われているのはあまり見たことがない。しかしよく知られた地名のいくつかにはこの sik ...
特集

位置名詞を理解する 【アイヌ語地名研究】

位置名詞とは 例題:岬をあらわす地名 次の3つはいずれも岬などをあらわす地名である。さて仲間はずれはどれだろう? sir-paシㇼパ〈山の頭〉 sir-etuシレトゥ〈山の鼻〉 sir-etokoシレトコ〈山の先端〉 「シリパ」「シレト」「...