アイヌ語地名

平磯岬(クマジシリバ)~トンネルの歴史と銀鱗荘~

平磯トンネル 平磯トンネル 札幌方面から小樽に向かうとき、二つのトンネルを通過する。ひとつが「張碓トンネル」で、もう一つが「平磯トンネル」。国道・高速道路・鉄道いずれにもトンネルがあり、この平磯岬がかつて「小樽区」と「朝里村」の境界ともなっ...
アイヌ語地名

濁川(コツウンナイ)~星置の平原を流れる川~

星置の平原を流れる川 濁川の流域 濁川 手稲の星置駅のすぐそばを「濁川にごりがわ」という小川が流れている。それほど目立つ川ではないが、下手稲通や337号沿いに大きな河川標識の看板があるので、なんとなく目にしたことがある人も多いのではないだろ...
アイヌ語地名

シイキナウシノタ~明日風に残る蒲の湿原~

明日風に残る蒲の湿原 小樽と札幌の境界あたりに「シイキナウシノタ」という地名がある。 非常にマイナーな地名で、今日の地図はおろか、昔の日誌や記録類にも全然出てこない。いわゆる "地名本"の類でも全く触れられておらず、ネットで検索しても札幌地...
アイヌ語地名

分部越(フンベヲマイ)~孤立無援の小休所~

分部越ぶんべごえは銭函5丁目の旧名。現在の石狩湾新港のあたりである。 1/25000「石狩」昭和28年/今昔マップ on the web より 昭和28年発行の地理院地図には名前が載っているが、その後消えた地名。樽川十線の先にあることから「...
備忘録

ランドマーク地名 ~アイヌ語地名の考え方~

指をさして示せる地名 アイヌ語地名はランドマーク地名であることがほとんどである。 ランドマーク地名とは、簡単に言うと、「指をさして見せることができる地名」。今風に表現すると、「GoogleMapのピンを立てることができる地名」とでも言えるだ...
特集

クシのつく地名 ~釧路・奥尻・幾春別~

アイヌ語地名文法の練習 クシのつく地名 アイヌ語地名には、kusクㇱ のつく地名が時々でてくる。最も有名なのは「釧路くしろ」で、他にも有名な所は「奥尻おくしり島」や三笠の「幾春別いくしゅんべつ川」など。 小樽市内でも忍路の「尻櫛しりくし」や...
データベース

札幌市内のアイヌ語由来地名

札幌に残るアイヌ語地名 札幌は都市化が進んだため、その地名のおよそ8割は和名由来になっている。だが古くからある地名にはアイヌ語由来のものも残っている。現在なお地図や現地で見られる、30ほどのアイヌ語地名の意味と、その地名が示していた位置を考...
地名の由来

神恵内村の地名~祈石・竜神岬・トラセ・ラムネ泊~

美しき神恵内の地形 絶景の宝庫・神恵内 神恵内村のイメージと言えば、小さい頃にキャンプをした「青少年旅行村」と、「オスコイ!かもえない」がある所くらいなもので、あとは何もない印象があった。 だが蓋を開いてみると溢れるほどの魅力に満ちている素...
地名の由来

余市の由来 ~本当にイヨチコタン(蛇の村)だったか~

歴史の街・余市 旧下ヨイチ運上家 余市の歴史は古い。”ヨイチ” の地名はヲタルナイよりもずっと前の時代から見える。 小樽も歴史の街と言われるが、主に明治から戦前にかけての歴史を重視しているのに対し、余市は先史時代から江戸時代にかけての歴史を...
特集

アイヌ語地名文法に関する覚書き

文法のはなし 避けたい文法 「文法」と聞いてワクワクする人はあまりいないだろう。できれば避けて通りたいと思うのが人の常である。 かく言う自分も高校時代、英語のテストで赤点を取ったし、古文に至ってはほとんどゼロ点に近かった(現代文の物語読解は...
地名の由来

東小樽の熊碓と謎のクマウシ村 ~クマウシ地名考~

全道各地にある熊牛村 魚干棚が多い処 道内には熊牛くまうしと呼ばれる地名があちこちにある。ブルとベアといえば投資界隈で使われる用語だが、もちろんそれは関係なくて、熊や牛を飼っていたというわけでもない。kuma-us-iクマウシ「魚干棚が多い...
地名の由来

桃内の由来 ~モモナイ地名考~

桃内の紹介 桃内村 桃内 桃内は小樽の塩谷と忍路の間にある小さな集落である。かつては忍路郡桃内村という1つの村を成していて、現在もほぼそのままの区画で住所に残されている。 桃内の位置 桃内の集落と桃岩岬 国道五号で通過すると長い塩谷トンネル...
地名の由来

赤岩海岸の地名 ~ワタリシ地名考~

小樽の赤岩山 小樽運河から北の方に目を向けると、赤岩山 が見える。いくつかの鉄塔が立つ小高い山で、小樽市民にとっては馴染みがある山だ。 赤岩山/小樽運河より 赤岩山と隣の下赤岩山には遊歩道、小樽海岸自然探勝路が整備されているので、片道30分...
地名の由来

軽川の由来 ~手稲の旧名~ トシリパオマナイ地名考

手稲の旧名・軽川 手稲駅南口 札幌市手稲区に「手稲駅」があるが、この駅はかつて「軽川駅」と呼ばれていた。明治13年に開駅して以来、手稲地区の中心的な位置づけとなり地域の発展を促してきた。同様に手稲駅周辺の手稲本町と前田地区は、昭和26年に手...
備忘録

昭和35年の札幌バイパス計画の話

小樽と札幌を繋ぐ高速道路・札樽自動車道は、小樽から札幌手稲区までは概ね国道5号と並行して丘の上を走っているが、宮の沢の札幌西ICところで山地を離れ、札幌中心部を避けて大きく北に迂回しながら進んでいく。いわゆる「バイパス道路」である。 北5条...
地名の由来

朝里の地名の由来 ~アサリ地名解~

難解なる朝里の地名解 朝里あさりは小樽市東部の最大の町で、国道沿いにはショッピングモールが立ち並び、山の奥には朝里川温泉やスキー場・ゴルフ場などのリゾート施設がある、賑やかなところである。かつては小樽郡朝里村という独立した村であった。また朝...
地名の由来

手稲富丘・三樽別川の由来~サンタルベツ地名考~

手稲富丘と三樽別 札幌の手稲富丘には、遠くからでも目立つKDDIの白い大鉄塔があるが、その近くで三樽別さんたるべつ川という川を渡る。あまり大きな川ではないが、国道沿いに河川標識があるので、なんとなく目にしたことがあるという人も多いだろう。 ...
特集

アイヌ語地名解の年代区分

アイヌ語地名解の年代区分 北海道のアイヌ語地名を日本語の意味に訳そうとする試みは、江戸時代から今にかけて繰り返し行われてきた。その上で重要となるのはどの年代のものかということである。古ければ古いほど、当時のアイヌの生の声を反映したものである...
備忘録

勝納川の「白糸の滝」はどこにあるのか

過去記事:勝納川の雨乞滝と幻の滝 の続き 幻の滝・白糸の滝 勝納川には「穴滝」と「雨乞滝」という二つの滝があることが知られている。 江戸時代の探検家・松浦武四郎が残した日誌には、「五丈ばかりの大滝」が勝納川の上流にあるという。だが穴滝も、雨...
特集

星野丸山 ~消えた小樽最東端の低山~

消えた山 「星野丸山」と聞いても、あまりピンとくる人は多くないかもしれない。少なくとも数年前までは誰も知らない山だった。登山家どころか地元の人ですら聞いたことがない。それもそのはず、山が消えてしまったのだ。決して比喩表現ではなく、物理的に消...